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後藤 秀孝
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JAPAN
指輪物語
2007-09-20 Thu 00:32
2000年の7月に、台湾にて妻の家族を招いて婚約式を行なった時のこと。当時クソ熱い台湾の街を案内されながら、所謂「新婚の穴」、指輪ショップが軒を連ねる箇所にやってきました。

妻はエキサイトしています。店に入るとすぐに指輪を物色し始め、「これ欲しい!あれ欲しい!」光線を放ちまくるのです。(これじゃあダメです、隊長!)

案の定、お店の主人は「ニカッ」と笑い、妻に色々不要な知識を詰め込み始めました。
当の私は、つまらなそうに店内をうろつき、疲れたのか椅子に座ってしまいます。ついでに本を取り出して読み始めるのです…!典型的な「買う気のない夫」…。

さて、妻が選定を終えて、店の主人が「あの、旦那さん…。奥さんがこちらの指輪などどうかと仰っていますよ…。」などと言ってくるのを、(そんなの関係ねぇな)というあからさまな態度で迎え、「じゃあ幾ら負けてくれんの」と一言目から価格交渉です…!

妻の顔にも緊張が走ります。せっかく選んだのに、ここで夫がウンと言わなければ、私の夢は台無しよ…。そんな冷めた空気が場に立ち込めました。

商売人の店主はすぐさま電卓を取り出し、何やら複雑な公式を用いてこの「不機嫌系日本人」への対抗策を算出しようとしています。おずおずと「こんなもんでいかがでしょうか…」という主人に、私は一声「えッツ」と叫んで、何やら妻と二人で話がしたいと席を離れてしまいました!

その後「二ついっぺんに買うから」「これほんとにプラチナなの?嘘くせ~」「別の店も見てみよう」「現金で払うからさぁ」などと再三の値下げ交渉の末、「まぁこんなもんでしょう」という価格に辿りついたとき。何を思ったか、日本人が突然パッと顔を輝かせて、こう言ったのです。

「で、オマケはなに?」

こうして私は、夫婦の結婚指輪と共に、ジェイドでできた指輪を妻に2つ、自分に2つせしめて、悠々と店を出たのです。

<すみません。ここからが本編です>
さて、私がこうして苦労の末手に入れた三つの指輪。それを私は、全て失うことになります。

最初の犠牲者は、小指用のオマケ指輪。それは新婚旅行で行った下田で、泳いでいる最中に失いました。水泳中は指が細くなるので、皆さん気をつけてください。

二番目には、プラチナと思しき結婚指輪を、パキスタンの山中で失くしています。いつ、どのようにして失くしたかも、分っておりません?

そして三つ目のジェイドの指輪も、スリランカで海水浴後に「ゴーグルと一緒に忘れてしまう」という失態を演じてしまいました。

もちろん、妻には内緒でした。

しかし、2007年の8月に訪れたスリランカの刑務所で、受刑者がココナツの殻から製造していた指輪を「お、これ綺麗だね!!」と褒めちぎった私に。
入所者たちがくれたのです。ココナツの殻製、総手作りの、大切な試作品を。

そして、恐らく彼らの勘で選ばれたその指輪は。
私の左の薬指に、ぴったりなのでした。


<神はあなたに必要な物を、知っています>
NGOに入ってからの私は、それまでに溜め込んできたものを、次から次へと切り離していく作業を続けてきました。妻も同様です。海外へ移住するたび、古いものを捨て、スーツケースとバックパックx2に入るだけの物を、持ち運ぶ。それが最大重量になるのです。

このため卒業アルバムも、以前大切に思っていた本も、写真も、スーツもネクタイも、靴も、何もかも削りました。
最初は辛い思いで取捨選択していた訳ですが、それも今となっては「訓練だったのだ」と思わされる節があります。

それはつまり、これからの伝道のための。
更にモノがなくなる、質素な生活のための…。

まさに、高価な貴金属の指輪の代わりに、原価恐らくタダ、作業工賃も受刑者ですからタダ?のココナツの指輪へ…。
自分の好きなもの、誇りに思うもの、大切にしていたものの代わりに、古ぼけた聖書と、2000年前に十字架で死なれた主イエス・キリストへ…。

そんな、これからの人生を象徴するような、大切な指輪を頂きました。

<あなたにお祈りします>
不要なものを排除して、ようやく今の自分があります。
しかし、我が身を見れば、まだまだ不要なものばかりです。

主よ、あなたのみこころのままに、私を形造ってください。
あなたの尊い仕事のために、どうぞ私を用いてください。
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