ブロイラー(食肉用のにわとり)
パキスタンの郊外で。ブロイラー搬送トラックの荷台から取り出され、人の手で無理矢理狭い檻の中に押し込まれて、それでも心地良さそうにしています。檻のドアが半空きで、逃げようと思えば逃げられるのに、
目の前のえさと水に夢中になって、逃げ出す気配もありません。やる気全くなし。
彼らは、生まれたときから檻の中で生活してきました。これが彼らの世界なんです。「外の世界」など想像もできません。金属の檻の中にいれば、食事も、水も与えられ、狭くも汚くもあるが住居も宛がわれます。何事も楽勝です。しかし、その最後に辿り着く先は、疑いもない死ですね。他人の意のままに生き、死に、食い尽くされる運命。
反面、「外の世界」とはどんなところでしょうか。仮にブロイラーが逃げ出し、逃走中に捕獲されれば、真っ先に販売されるのはその個体でしょう。飼い主(=買い主)の機嫌を損ねるギャンブルですから、死に直通しますな。また、仮に逃走に成功したとしても、ジャッカルや野犬などの肉食獣に襲われ、死ぬかもしれません。食べ物も見つけられないし、脱毛症で毛が少ないので夜の寒さで死ぬかもしれないし。
しかし、もし仮に生き残ったとしたら。野生としての能力を磨き上げ、生き残る術を学び、自由を勝ち取ったとしたら。彼/彼女は、昔の「檻の中」の生活に戻りたいと願うでしょうか。
人生と言う名の冒険には勇気が必要です。でも一歩踏み出してしまえば、檻の中で抱いていた恐怖など、取るに足らないものだったと気付くはずです。
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