畑ネタだ。懲りずに。
ヨモギさんと言う雑草がいる。
餅に止血にお茶に入浴剤にお灸にと、人類に広く活用される草だ。
だが、無知なることよ。
後藤は当初、やたら成長が早く横に根張る彼女を「ふてえ野郎だ」と迫害しまくっていた。
同時に、こうも印象受けていた。
「何か見たことある」
「こいつの根をシェルターにして、ミミズ含めミクロの生物圏が形成されている」
「こいつが制圧した場所は、他の雑草が生えない」・・・
そうやって今回、この迷惑千万な畑の覇者を検索したところ、Google さんが親切に教えてくれたのだ。
「後藤さん。彼女は、我々の味方です」
よもぎさんの特徴、横に・根・張る件について。若い芽を土ごと根本まで切り裂くと、なにやら「ず~っと繋がっている。」
そうだ。一匹いたら50匹はいるテラフォーマーズ並に、地中で存在感があるのがよもぎさんだ。
複数の個体が絡み合い、コロニーを形成。ますます抜き辛い構造になってます。そこがダンゴムシの温床にもなっている。
また、横張り根は耕した柔らかい大地に容易に侵入し、一気に勢力拡大するから厄介だ。故に後藤は、よもぎさんの気配があれば出向いて行って、根絶やしにしていた。
そんなよもぎさんが教えてくれた事。
彼女はその稀なる再生能力を持って、ほんの僅かな遺り根から、2週間もすると見事復活してくる。
倒しても倒しても立ち上がってくるジョーを相手にしているかのようだ。
彼女、口数は少ないが、
「私、何があっても、立ち直ってみせる...っ!」
とその生き様で雄弁に自己主張される。
「あなた(後藤)なんかに絶対、負けはしないっっ」
とか言って悪の後藤を睨んでくる、正義のヒロインなのだよ。よもぎさんは。
ーーーーー
自然は、すげえな。
ほんの根の一本、遺せていれば。
抜き捨てられ、強烈な太陽の熱に晒されながらも、細い根の先が大地に触れてさえいれば。
種の一つが、大地に飲み込まれてさえいれば。...
再生して見せる。
思えば俺たち人間も、その自然の一部なのだな。
これから先、日本が一体どうなろうと。
どんな根こそぎ悲惨が待ち受けようと。...
「私はしぶといわよ...」
「悪には、絶対、負けはしないっ!」
そう叫ぶよもぎさんの姿に、悪ながら感動して倣いたいと思ったのだよ。
スポンサーサイト