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後藤 秀孝
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JAPAN
【若者を蔑ろにし続けてきた②】
2014-03-19 Wed 20:23
(被害者の方、そのご家族、大変ご愁傷様です。
その痛み・恐怖は消えることが無い、重々理解しております…。

そこで、敢えて一言・なのですが…。)


ショッキングなニュースが続いている。

「シッターサイト:預けた2歳児?死亡 20代男性を聴取」(毎日新聞 2014年03月17日)
「乳児虐待疑い27歳父逮捕=「泣きやまず」頭部殴打」(時事通信 2014年3月18日)
「コンビニ強盗:横浜で連続発生 先月から相次ぐ」(毎日新聞 2014年03月14日)

メディア報道はこのような事件が全て:

「暴力的な/異常な(若)者の犯罪である」

と結論しようとしている。
Or、少なくとも後藤はそんな印象を受ける。

メディアが描き出そうとするのは、

あたかも虐待や殺人を楽しんで実行する「隣の Serial Killer(殺人鬼)」?…
私利私欲の為に包丁を振り回して押し入ってくる「無差別強盗殺人犯」?…

ベビーシッターとして





……

―――――

ここで、最近目にした「日雇い派遣労働者たちの声」を少し共有しよう。
若年困窮者/無業者たちの怒りの源泉を、少しだけ汲むことが出来るから。…
(「今日、派遣社員をクビになった 15人の底辺労働」増田 明利著、株式会社 彩図社、H21年)

<誰にでも起こる>

●高校を卒業し地元の水産加工工場に勤務していたが、会社倒産。
退職金どころか前月の給料も貰えず。社長や幹部連中は、一言の説明も謝罪もなく行方不明に。
地方には仕事が無い。だから首都圏の派遣会社の説明会に出たが、聞いた美談は全部嘘だった。給与待遇面は勿論、寮費に加えられた水道光熱費、備品費(備え付けの家電使用料)などぼったくられ手取り10万以下。

●会社が突然倒産。工場はフル稼働だったが主力銀行が融資を引き上げたこと/親会社の生産調整で。退職金に依る将来設計は瓦解した。

●就職氷河期にぶつかって新卒で就職できなかった。仕方なくつなぎのつもりで始めた日雇い派遣が生業に。
「正社員に成りたいと望んでも、学歴、職歴、経験、資格などではねられる。『高校卒業後はフリーターをしていました』→『お帰り下さい』。」
「最終面接までこぎ着けて、不採用だと失望感が大きい。繰り返し拒否されると自信を喪ってしまう。」

<日雇い…その仕事と扱い>

●肉体労働系の仕事は危険。社員には安全靴や防塵マスクがある、しかし派遣にはヘルメット以外何も無い。
怪我をしても「隠せ」と強要される。従わないと仕事から干されるし、怪我や風邪で休めば勿論無給だ。

●人間として扱われない。「おい」「派遣さん」とか「そこのメガネ」とか呼ばれてモノ扱い。
「派遣先の会社には厭な奴が多い。派遣いじめが趣味みたいな奴。さもなければ完全無視されるか、どうせ派遣だからと満足に仕事も教えてもらえない。」

●社会保険には全くの未加入。「雇用契約期間が短く、状況に応じて更新するので加入は不要」という理由。

<困窮した生活>

●人間として…。
「ご飯は冷たい、揚げ物は時間が経ってしまっている。正直食事とは呼べない、餌みたいなもんだ。」

●非正規雇用=社会的信用無し=アパートも借りられない。
ゼロゼロ賃貸物件は、家賃振込みが一日でも遅れれば法外な違約金を取られるか・追い出されるか。
その後「ネットカフェ難民」へ。「他人事と思っていたが、そうやって簡単になってしまうもの。」…

<正社員登用?待遇向上?>

●派遣の場合、長く勤めても雇用条件が上がっていくことはない。
何年か働いたら正社員登用…はないそうだ。数ヶ月~2年半ほどで理由を付け雇い止めされる。
(e.g. 派遣労働者の内、一年以上働き続けることが出来たのは僅か17.4%。)

●半年勤務し契約更新の際、時給アップを頼んだが拒否された。「不満なら辞めろ」という冷ややかな対応。

●どれだけ懸命に働いて貢献しても、一言で/B5用紙一枚でクビにされてしまう。
「今月であなたの仕事はなくなりましたから契約終了です。」

<気持ちの面>

●同い年の正社員とは賞与含めて100万円近い年収差。やっている仕事は変わらない、いや派遣のほうが困難な仕事を受け持たされているケースも。
「同じオフィスで同じような仕事をしていると、自分もその会社の一員だと錯覚する。しかし給与明細をみると違うことを思い知らされる。」

●今日の生活を維持するのが最優先で、先のことを考える余裕などない。
「日雇い生活になると、今日の寝床と飯代のことしか考えられなくなるんだ…」

●虚しさ。
「どれだけやってもスペシャリストにはなれない。こんな状況で向上心を持つことは難しい。」
「どれだけ一生懸命やったって、いきなりクビになったり倒産したりするんだろ。だったらやるだけ虚しいような気がする。」
「今の収入では自活するのは困難だし、結婚して家庭を持つのも不可能。」

●孤独。鬱気分。
「話し相手がいない。日に日に孤独感がまして鬱状態にもなる。」

<時間が経つほど不利に>

●危機感。
「ずっとこのままだったら…どうしよう。一日経つごとに自分の価値が下がっていく。何も出来ない人間に成ってしまいそうで怖い。」

●同じ日雇いでも中高年になってしまうと、週3日くらいの仕事量に減ってしまう。
月収は軒並み低下。家賃滞納、夜逃げ、ネカフェ難民~路上化へと、簡単に坂を転がり落ちる。…

―――――

ここで、冒頭の殺伐としたニュースと、
上記のような劣悪な環境で追いまくられる若者たちとの関連について、少し考えてみよう。


子どもを虐待した青年たちは、それ以前に、

家庭から、
学校から、
社会から、

…酷く差別され、虐待されて来たのではないか…。


日雇い派遣を含む、非正規雇用労働者の人数を見ると、

正規雇用社員:33,110,400名(*役員等除く)
非正規労働者:20,427,100名

非正規雇用の職員が、
全体の38%弱もいることが分かった。


(政府統計 Estat:
平成24年就業構造基本調査 全国編 人口・就業に関する統計表より)

<なぜ派遣が重宝されるのか?>
便利な雇用調整弁、都合よく解雇できる労働力だから。

だがそこに落ち込んで時間が経過してしまうと、
二度と脱出する術が無い蟻地獄のような階級なのだ。

―――――

怒っている。 後藤はそう思う。
俺だったら怒り狂う。泣く。
一人涙して復讐を誓う。

(…でも復讐のやり場がないんだ。…)


彼らが怒っているのは当たり前だ。

派遣会社、派遣先の企業、
品格の無い正社員たち、パワハラの横行を許す経営者たち、
明日の暮らしも知れぬ彼らから、ひたすら搾取する政府…。

そして何より、自分自身への怒りと後悔だ…。


寄る辺なき困窮者をただ追い込めば、彼らが:

生きていく為に、人を騙し、
今日食べる為に、人から奪い、
今日の寝床の為に、罪と知りつつ冒してしまう。…

ところまで落ち込むのは、ある意味仕方のないことではないか…。


どっちが先に仕掛けたんだ?

暴力魔/殺人鬼と指差される、彼らか。

それとも、彼らをそこまで追い込んでしまった、
私たちの社会にも非があるのか。



「派遣が来た、いいように使い倒してやろう。」
「どうせすぐ居なくなるんだから、親切にしても時間の無駄よね。」
「重労働はあいつらに全部振って、タバコ吸いに行こうぜ。」…

日々の仕事の中で、こんな風に、

彼らの人格を軽んじ、
踏みにじる私たちにも、
責任があるのではないか。


彼らが困窮するに任せて、
手をこまねいているだけの我々にも、
責任があるのではないか…。



(再度になりますが、
被害者の方たち、ご遺族の皆さま…。どれほどの痛み、悲しみ、恐怖、そして喪失でしょうか…。
それは揺るがない事実です。そして心からお悔やみします…。)
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