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後藤 秀孝
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JAPAN
【不動産の築年度について】
2013-08-25 Sun 19:49
キリストの教えとまったく関係ありませんね。そう思われた方、後々思い直すかもよ…。

今日は日本の近代経済史と絡めて、

「建築ブーム」と呼ばれた時代の様子、
その時建てられた物件の質、
また史学から「買いってこういう時よ…」を読み解く学びを、

皆さんと共有したく思います。



【日本の近代経済史】
で、建物への需要が大きく上がった年度

A. 日本列島改造論(1972年~) 

田中角栄氏、「工業再配置と交通・情報通信の全国的ネットワークの形成をテコにして、
人とカネとものの流れを巨大都市から地方に逆流させる “地方分散” を推進する」との信念により、建築ラッシュ誘導に成功。おかげで内閣総理大臣に就任。

B. バブル景気(1986年~)

バブル絶頂に掛かる時期、
「今買わないと、一生家なんか持てないゾ」と煽られた方々がそろって物件購入。

C. 消費税法施行①3%(1989年~)
D. 消費税法施行②5%(1997年~)


トイレットペーパーや缶詰、犬のエサなどと同じ扱いで、
「消費税が上がる前がお得ですよ!!」とそそのかされた方々がそろって駆込み購入。

(そして残念ながら、歴史から学ばぬ人々のために。
今回の消費税率アップ前にも同様のことが起き始めている…)

E. ゆとりローン(ステップ返済)(1992年~)

バブル中に建て過ぎてしまったマンション等を、
「誰にでもいいから売り抜けてしまえ」と日本政府が指令しました。

国の機関である住宅金融公庫はそれを受け、ステップ返済という甘い罠ローンを打ち出しました。多くの若者やカップルがこれに乗っかり、限度額まで借りて物件購入しました。

新築住宅着工戸数_推移
参考資料:新築住宅着工戸数の推移。国土交通省。クリックして大。


【建築ラッシュの害悪】

建築ラッシュが起きると、どんな問題があるのだろうか。

①資材不足
②過密な建築スケジュール
③掛け持ち工事
④職人不足
⑤監督の管理不行き届き

史上の例を挙げると、日本列島改造論が始動した時には、
高速道路や橋梁、鉄道網が全国で新規着工された。

勿論、日本全国!深刻な建材不足。

例えば、コンクリに骨材として混ぜる砂。適正に処理された砂が市場から消えたため、海岸から砂をさらって使用したそうだ。いわゆる塩害コンクリートである。
他にも産廃で埋め立て、廃材使用等も、業者によっては正当化して施工していたかも知れない。

そんな中のマンション建設ブームだったため、業者によって物件の質は玉石混合した。


そこに、「欠陥住宅を生み出す原因」である業者の<下請け構造>が拍車を掛ける。

受注するのは大手建築業者かもしれないが、
実際に現場で工事しているのは子請け・孫請け・曾孫受けの職人さんたちだ。

中間マージンをバリバリバンバン取られて、曾孫受けの土方さんにはスズメの涙しか渡らない。
さて、職人さんたちが給与面で折り合いつかなければ、もっと落として日給6,000円くらいの短期アルバイト君が建てる。…


業者・職人にとっては引く手数多の「売り手市場」なので、複数現場を掛け持ちで作業しているところも。
そんな状況で建築士が文句をつけると、そもそも赤字覚悟で仕事している職人さんから、
「ここまでやっているのに、ウチの仕事が気に入らない?ああ、じゃあもう結構です。辞めますよ」と言われてしまうとか。…


「そんな状況で適正な、
良い仕事ができるわけがない。」

当たり前のことじゃありませんか。


だから、上記のような

建築ブーム に当たる時期に建てられた物件は、慎重に見る目を持たねばなりません。



【他の重要な年度】

上記以外にも、目配りしておくべき年度があります。

F. 新建築基準法(=新耐震基準)(1981年~)

新耐震基準が適用されている住宅の方が無難(と素直に言いたいところだが、実は「地盤がちゃんとしている所でね」という前提があります)。買うなら建築確認を81年6月以降に取った家、ざっくり言えば 1982年以降 建設完了の物件。

G. 建築確認の特例(4号特例)(1984年~)

1984年3月までの建築基準法は、全ての新築建物に関して建築確認申請をするよう求めていました。申請内容が問題なければ、行政が「検査済証」を交付していたわけです。

しかし件数の増加に伴い、
「該当する建築物に関しては行政がチェックしない」
「完成した建物も行政はチェックせず、工事管理をした建築士が<問題ない>と建築主事に報告すれば、行政は自動的に<確認済証>を発行する」ことになりました。それが4号特例と呼ばれるものです。

世に言う「違法建築」がまかり通ったのは、この業者丸投げの行政の対応が原因とも言われます。我々購入者としては、

①行政のチェック機構は失われ、完全に自己責任となったことを自覚し、
②4回チェック(契約前の設計図書・契約書チェック、基礎工事チェック、棟上チェック、引渡時ダメ出しチェック)を行なうこと。以上です。

(*建築確認通知書があっても安心できない。15欄に「有」と書かれていたら、4号特例を利用したということ。)

H. 阪神・淡路大震災(1995年)
I. 東日本大震災(2011年)


巨大地震収束後には、局地的にだが建設ラッシュに似た状況(職人・資材不足など)が発生する。

J. 住宅品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)(2000年~)

それまで欠陥住宅が横行しまくり、かつ建築契約書の中で「瑕疵担保(=欠陥を直す義務のある)期間は1年ですよ」などと勝手に規定されていた期間を、

「構造耐力上重要な部分(基礎や柱、梁)、防水面に関しては担保期間10年にします」と定めたのが品確法です。


【じゃあ、何年築が「買い」なの?】

上記仮定より、また新築住宅着工戸数のデータより、

①1982年以降築(=新耐震基準クリア)で、
②建設ピーク年(1987~1990、1996年等)にかぶらない

築年度が良い。
って、自分で考えなよ。

「地盤がしっかりしている」という前提で、

職人さんがいい仕事ができる環境があれば、

家は自然と良いものができる。筈。


Ark建設のために集めている予備知識でした。参考までに。

―――――

『だから、わたしのこれらのことばを聞いてそれを行なう者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができます。

雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけたが、それでも倒れませんでした。岩の上に建てられていたからです。

また、わたしのこれらのことばを聞いてそれを行なわない者はみな、砂の上に自分の家を建てた愚かな人に比べることができます。

雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまいました。しかもそれはひどい倒れ方でした。』(マタイ7:24~27)
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